平和のバラ「アンネ・フランク」と向陽子供バレエ教室

 平和の使者「アンネ・フランクの形見のバラ」が私の元にやってきて30年。 その何度も変化する色、散る瞬間に見せる燃え立つようなその色、私はその 一瞬一瞬を目にする度に、まるで人の生命の瞬間を写し出しているかのよう だと感じていた。
 私のターニングポイントとなった2006年、初めて訪れた向陽のクラブハウスで 「アンネのバラ」に迎えられた時、何か不思議な感覚にとらわれた。私はこの 平和のバラによって向陽の地に導かれたのだと、確かに思った。人生の半世紀を 過ぎて、私は今まで学び、そして自ら創造してきたバレエの指導カリキュラムを 多くの子供たちに知ってもらいたい、伝えていきたいと感じるようになっていた。 幸いにも昨年、鹿野先生はじめ向陽の方々のお力添えで子供バレエ教室の開講が 現実のものとなり、地域への開放されたバレエの指導の新しい試みを実現出来る こととなった。
 バレエは日々の鍛錬や稽古を重ねた上で花開く、一見華やかに思われがちだが、 とても地味な作業の積み重ねが必要とされる芸術だ。しかしながら、その厳しい 道を歩き続け、精進した者にはかけがえのない光が降りそそぐであろう。
 アンネ・フランクが生きていたら、一生懸命稽古する子供たちの姿になにを 思うだろう。私たちは幸いにも、戦争や銃声にも怯えることもない平和な国で、 バレエの中に自らのメッセージをこめて発表する場を与えられた。精進して いきたいと思う。そして、平和のバラにいつまでも子供たちの成長を見守って ほしい、と願っている。
                    竹内 あけみ  2006.12.

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